症例報告
縦隔内膵仮性嚢胞の1例
藤田 正弘, 小澤 正則, 西岡 孝浩, 大山 仁, 森谷 洋, 落合 浩平, 進藤 学, 櫻庭 弘康
市立函館病院外科
食道裂孔を介し右後縦隔内へ進展した縦隔内膵仮性嚢胞の1例を経験した.症例は42歳の男性.20年来の飲酒歴,24歳時に急性膵炎の手術既往あり.以来,慢性再燃性膵炎の治療歴を有する.平成6年3月腹痛を主訴に前医を受診し,膵炎の急性増悪として入院加療中であった.6月になり,胸部X線にて縦隔腫瘍と胸水が認められ,胸部computed tomographyにて後縦隔に嚢胞性病変を,magnetic resonance imagingにて横隔膜直上から上縦隔におよぶ巨大な嚢胞を認めたことから当院紹介され転院となった.膵炎の保存的治療により縦隔嚢胞は消褪したが,腹部CTでは膵被膜と胃後壁の間に嚢胞の遺残を認め,またendoscopic retrograde pancreatographyにて主膵管と交通する膵仮性嚢胞および膵・縦隔瘻孔を確認したことから膵体尾部切除術を施行した.術後順調に経過し,退院後1年4カ月の現在,再発の徴候はみられない.
索引用語
mediastinal pancreatic pseudocyst, internal pancreatic fistula, pancreatic pleural ettusions
日消外会誌 29: 2304-2308, 1996
別刷請求先
藤田 正弘 〒040 函館市弥生町2番33号 市立函館病院外科
受理年月日
1996年9月11日
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