症例報告
重積を伴った虫垂絨毛腺腫の1例
神谷 諭, 千木良 晴ひこ, 加藤 岳人, 柴田 佳久, 尾上 重巳, 杢野 泰司, 吉田 克嗣, 安部 哲也, 平松 聖史, 江崎 稔
豊橋市民病院外科
症例は72歳の男性.主訴は便通異常.大腸X線注腸造影所見で盲腸の虫垂根部に隆起性病変を認めた.大腸内視鏡検査で虫垂開口部に腫瘍を認め,虫垂内腔より多量の粘液排出を認めた.生検結果は腺管絨毛腺腫で,虫垂腫瘍の診断で回盲部切除を施行した.切除標本では虫垂根部に25×11 mmの腫瘍を認め,腫瘍により一部根部が盲腸内へ重積していた.組織学的検査で,腫瘍は虫垂の絨毛腺腫と診断された.虫垂絨毛腫瘍はまれな疾患であり,本邦報告例は自験例を含め10例と非常に少なく,このうち7例は腺腫で重積合併例は5例であった.
索引用語
villous adenoma of the appendix, intussusception of the appendix
日消外会誌 29: 2314-2318, 1996
別刷請求先
神谷 諭 〒422 静岡市小鹿1-1-1 静岡済生会総合病院外科
受理年月日
1996年9月11日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|