臨床経験
胆嚢管テープ牽引法による腹腔鏡下胆嚢摘出術により損傷を回避しえた胆石症合併副肝管の2例
市原 隆夫, 光辻 理顕, 裏川 公章
神戸労災病院外科
症例1は33歳の女性.仙痛発作を繰り返し胆石胆嚢炎と診断されたが術前の胆道造影では胆嚢管は造影されなかった.牽引テープ法による腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下,LC)を行い胆嚢剥離を底部から頸部に進めるとCalot三角部に胆嚢管から肝門部へ向かう索状物を認めた.術中胆道造影で胆嚢管に合流する副肝管と診断,胆嚢管を副肝管の胆嚢側で切離し胆嚢を摘出した.症例2は19歳の女性.術前内視鏡的逆行性胆管造影で胆嚢管に合流する副肝管が造影されたが,症例1と同様にLCを行い副肝管を温存した.開腹による胆嚢摘出術でも胆嚢管切離を先行するretrograde methodでは副肝管は損傷されやすいとされ,LCでは温存が困難であるが,当科の牽引テープ法はnormograde methodによるLCが可能でCalot三角部の検索にも有利で安全な操作が行え,2例の副肝管においても損傷が回避された.
索引用語
laparoscopic cholecystectomy, aberrant bile duct
日消外会誌 29: 2324-2328, 1996
別刷請求先
市原 隆夫 〒650 神戸市中央区篭池通り4-1-23 神戸労災病院外科
受理年月日
1996年9月11日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|