原著
早期胃癌におけるPCNA,laminin,p53,nm23,c-erbB-2のリンパ節転移高危険因子に関する検討
白子 隆志, 佐治 重豊, 深田 代造, 宮 喜一, 梅本 敬夫, 国枝 克行, 杉山 保幸, 鷹尾 博司, 加藤 元久, 永田 緑
岐阜大学医学部第2外科
早期胃癌でもリンパ節転移陽性例が存在するが,この判定は縮小手術や術後補助療法適応の観点から極めて重要である.そこで1977年から16年間に経験したリンパ節転移陽性早期胃癌(以下,n(+))25例(m;2例,sm;23例)を対象にパラフィン包埋ブロックを用いPCNA,laminin,p53,nm23,c-erbB-2の免疫組織染色を行い,1982年から3年間のリンパ節転移陰性早期胃癌(以下,n(-))56例(m;44例,sm;12例)のそれらと比較検討した.その結果,PCNA標識率はn(+)群が53.0±20.0%とn(-)群の35.0±21.4%に比べ有意に高値で,nm23とc-erbB-2の染色陽性率はn(+)群が有意に高値であった.しかし,lamininとp53染色では有意差はみられなかった.
以上より,早期癌でもPCNA標識率が高く,nm23とc-erbB-2染色が陽性を示す例ではリンパ節転移が陽性となる可能性が高いと推察された.
索引用語
early gastric cancer, lymph node metastases, proliferating cell nuclear antigen, nm23, c-erbB-2
別刷請求先
白子 隆志 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学医学部第2外科
受理年月日
1996年9月11日
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