原著
粘膜内,粘膜下組織型の比較および粘液形質の検討からみたsm胃癌の臨床病理学的特徴について
樫村 弘隆, 池上 雅博*
東京慈恵会医科大学外科学講座第2, 同 病理*(指導:外科学講座第2 青木 照明教授)
sm胃癌176例の組織型を粘膜内部分と粘膜下浸潤部に細分類すると,粘膜内分化型腺癌105例中30例(28%)がsm浸潤部で低分化型腺癌に変化し,粘膜内低分化型腺癌は浸潤部でも全例が低分化型腺癌のままであった.sm浸潤部進展形式を検討すると,粘膜内低分化型腺癌例では89%が浸潤部で非充実型進展形式をとったが,粘膜内分化型腺癌例では充実性増殖形式が65%,非充実性進展形式が35%みられ多様性を示した.粘膜内が分化型腺癌で浸潤部で低分化型腺癌に変化し,かつ充実性進展形式をとる18例中5例(28%)に再発死亡例があり,腸型の粘液形質を有することが多かった.こうした組織型および進展形式例は血行性転移をきたしやすい病変と考えられ,術後の補助療法の必要性が示唆された.
索引用語
gastric carcinoma, submucosal invasive gastric carcinoma, intramucosal histology of gastric carcinoma, submucosal histology of gastric carcinoma, mucin histochemistry of gastric carcinoma
別刷請求先
樫村 弘隆 〒105 港区西新橋3-25-8 東京慈恵会医科大学外科学講座第2
受理年月日
1996年10月9日
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