腹膜再発胃癌症例におけるリンパ節周囲結合織癌浸潤形式の検討

孝冨士　喜久生, 武田　仁良, 児玉　一成, 青柳　慶史朗, 矢野　正二郎, 大田　準二, 水谷　和毅, 高宮　博樹, 白水　和雄

久留米大学第1外科

　1983年から1994年の切除胃癌症例1,246例中，腹膜播種再発で死亡した肉眼的治癒切除例48例（n₀：22例，n₁：14例，n₂：12例）の郭清した全リンパ節を鏡顕して，リンパ節周囲結合織中の癌細胞の有無を検討した．48例中リンパ節周囲浸潤陽性例は23例，陰性例は25例で，陽性例は陰性例に比べ男性が有意に多く（p＜0.01），A領域の占める比率が有意に高かった（p＜0.05）．リンパ節周囲浸潤陽性率は，n₀：31.8％，n₁：57.1％，n₂：66.7％で，n因子の進行とともに増加した．陽性例23例は，リンパ節転移巣と無関係に節周囲結合織増生を伴って癌細胞が浸潤した微小播種例11例（n₀：7例，n₁：2例，n₂：2例）と，リンパ節転移巣より節外に癌細胞が浸潤した節外浸潤例12例（n₁：6例，n₂：6例）に分類された．浸潤部位の多くは，第1群リンパ節周囲で，P₁に相当したが，術中気づかれないことが多く，リンパ節のみならずその周囲結合織も術中迅速病理診断を行う必要性があるものと思われた．

索引用語
gastric cancer, peritoneal dissemination, lymph node metastasis, extranodal invasion, peritoneal recurrence

別刷請求先
孝冨士　喜久生　〒830　久留米市旭町67　久留米大学第1外科

受理年月日
1996年9月11日

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