原著
CEAダブリングタイムからみた大腸癌肝転移切除後の再発形式
藤井 正一, 大木 繁男, 池 秀之, 舛井 秀宣, 嶋田 紘
横浜市立大学第2外科
大腸癌肝転移に対する肝切後の再発および再発形式を早期に診断,または予測することを目的として,異時性肝転移で肝切後再発例のcarcinoembryonic antigenダブリングタイム(以下,CEA-DT)を検討した.肝切後の再発形式は残肝再発のみが20.0%(5/25),残肝+他臓器転移(肺,腹膜,局所再発など)が56.0%(14/25),残肝以外の他臓器転移が24.0%(6/25)であった.肝切後のCEA-DTの変化が肝切前に比べて短縮したものが13例,不変6例,延長6例であった.残肝再発のみの5例では肝切前後でCEA-DTは不変であった.肝外臓器に再発した20例のCEA-DTは肝再発時に比べ相関は認められなかった(r=0.23,p=0.33).大腸癌の肝転移は肝切後の残肝再発時でもその発育速度は再発時と同一であった.CEA-DTが肝切前に比べて変化した場合,残肝再発以外に肺,腹膜播種などの転移を考えなければならない.
索引用語
CEA doubling time, recurrent mode of colorectal cancer, hepatic metastasis from colorectal cancer, growth rate of tumor
別刷請求先
藤井 正一 〒236 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1996年10月9日
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