原著
大腸sm癌の臨床病理学的検討と治療方針
酒井 信行, 渡邊 昌彦, 寺本 龍生, 西堀 英樹, 山本 聖一郎, 千葉 洋平, 石井 良幸, 奈良井 慎, 石原 雅己, 北島 政樹
慶應義塾大学医学部外科
1970年より1995年まで,当科で経験した大腸sm癌は202例であり,内訳は男性139人,女性63人で平均年齢は60.0±12.0歳であった.平均腫瘍最大径は20.3±13.9 mmであり,腫瘍形態は隆起型140例(69.3%),表面型62例(30.7%)であった.腫瘍占居部位はS状結腸と直腸で163例(80.7%)であった.リンパ節転移は202例中10例(4.9%)に認め,脈管侵襲,深達度,占居部位,形態がリンパ節転移のリスクファクターとなっていた.IsやIIa+IIcはsm高度浸潤の確率が高く(92.0%,90.0%),初回治療より根治的手術を選択するのが妥当であると考えられた.さらに郭清範囲は,n2以上の転移は当科では経験しておらず原則としてD1+αで十分と考えられた.
索引用語
early invasive colorectal cancer, lymph node metastasis, the level of invasion, distant metastasis, endoscopic polypectomy
別刷請求先
渡邊 昌彦 〒160 東京都新宿区信濃町35 慶應義塾大学医学部外科
受理年月日
1996年9月11日
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