原著
大腸mp癌の発育形態とリンパ節,血行性転移―画像解析を用いて―
貞廣 荘太郎, 向井 正哉, 石田 秀樹, 徳永 信弘, 木村 富彦, 鈴木 俊之, 岩瀬 弘忠, 石川 健二, 田島 知郎, 三富 利夫
東海大学医学部第2外科
大腸癌の転移の危険因子を検索する目的で,大腸mp癌102例を対象に癌腫の最大割面における腫瘍の発育形態,浸潤深度を画像解析装置を用いて分析した.1型の腫瘍は2型の腫瘍に比べm層での腫瘍径および全腫瘍面積が大きかった.浸潤深度が深くなるに従ってmp層での腫瘍径および腫瘍面積は増加したが,m層での腫瘍径および全腫瘍面積には差がなかった.すなわちmp癌において腫瘍径と浸潤深度に関連性は認められなかった.リンパ節転移の有無で発育形態に差はみられなかったが,血行性転移陽性例では陰性例に比べ,mp層の腫瘍面積は小さく(p=0.018),全腫瘍面積に占めるmp層の腫瘍面積の比率も小さかった(p=0.0005).血行性転移の頻度は浸潤深度が深いほど減少したが有意の関係ではなかった.
以上から,組織標本の上での浸潤の程度,深度から転移を予測することは困難であり,浸潤程度が軽度である症例でも血行性転移の頻度は低くないことを認識する必要がある.
索引用語
colorectal cancer, image analysis, lymph node metastasis, hematogenous metastasis
別刷請求先
貞廣 荘太郎 〒259-11 伊勢原市望星台 東海大学医学部第2外科
受理年月日
1996年10月9日
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