症例報告
十二指腸原発腺扁平上皮癌の1例
中村 利夫, 佐野 佳彦, 大端 考, 鷲山 直巳, 梅原 靖彦, 大久保 忠俊
富士宮市立病院外科
原発性十二指腸癌は比較的まれな疾患であるがその組織型は腺癌がほとんどであり,十二指腸原発の腺扁上皮癌はきわめてまれである.われわれはその1切除例を経験したので報告する.症例は77歳の男性.貧血を主訴に受診し,内視鏡にて十二指腸下行脚に腫瘍を認め,2回の生検にて扁平上皮癌および腺癌の診断を得た.手術は腫瘍の横行結腸と門脈右壁への浸潤が認められたため,結腸右半切除術と門脈右壁を合併切除し膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本ではVater乳頭の口側下行脚に大きさ10.5×9.0 cmのBorrmann I型の腫瘍を認め,病理組織検査にて高分化の腺癌と細胞内角化が散見される扁平上皮癌とが混在した腺扁平上皮癌と診断された.術後5年経過し再発を認めず健在である.
索引用語
adenosquamous carcinoma of the duodenum
別刷請求先
中村 利夫 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学医学部第2外科
受理年月日
1996年9月11日
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