症例報告
経回腸静脈静脈瘤塞栓術にて止血しえた肝門部挙上空腸静脈瘤の1例
佐藤 勤, 浅沼 義博, 橋本 学*, 柴田 聡, 菊池 俊樹, 安藤 秀明, 小山 研二
秋田大学第1外科, 同 放射線科*
症例は67歳の男性.下部胆管癌に対する膵頭十二指腸切除5か月後に,消化管大量出血と昏睡,高アンモニア血症をきたした.持続血液濾過CAVHFにて昏睡の治療を行い,軽快・退院したが,5か月後に再出血した.血管造影,カラードップラーエコーから,肝外門脈閉塞に起因する肝門部挙上空腸静脈瘤からの出血と診断し,開腹下に経回腸静脈静脈瘤塞栓術を2度施行した.術後2年経過したが,再出血はみられていない.肝外門脈閉塞に起因する異所性静脈瘤からの消化管出血に対する治療は,肝障害の有無と程度,脳症の有無,側副路の発達状態などをもとに慎重に選択されなければならないが,経回腸静脈静脈瘤塞栓術は,確実な止血効果と低侵襲性の両面で優れていると考えられた.
索引用語
extrahepatic portal obstruction, jejunal varices, interventional radiology
別刷請求先
佐藤 勤 〒010 秋田市本道1-1-1 秋田大学第1外科
受理年月日
1996年9月11日
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