会長講演
教室における食道癌外科治療10年のあゆみ
遠藤 光夫
東京医科歯科大学第1外科
1985年から1995年までの胸部食道癌切除例621例を検討し報告した.外科治療を開胸,リンパ節系統的郭清,食道亜全摘,食道再建を行う標準手術と縮小手術とに分けている.前者では上縦隔郭清とくに両側反回神経周囲のリンパ節郭清を重視,郭清操作を新リンパ節規約のD3郭清に準じて行っている.過去5年間の上縦隔郭清施行例での2領域,3領域郭清群間には有意差をみず,癌の占居部位と術前頸部US診断とを加味した術式の選択をしている.後者にはEMR,非開胸食道切除,胸腔鏡下食道切除がある.癌の根治性から,1/3周までのm1,m2癌でリンパ節転移陰性例をEMRの適応に,広範なもの,多発病巣のあるm1,m2癌を非開胸食道切除の適応としている.胸腔鏡下食道切除ではD2郭清ができるものの,術前に巨大な,また多数のリンパ節転移のないA0症例を適応とする.縮小手術の遠隔成績は良好であるが,さらに長期遠隔での検討課題をのこしている.
索引用語
esophageal cancer, esophagectomy, endoswpic mucosal resection, lymph node dissection of esophageal cancer
別刷請求先
遠藤 光夫 〒113 文京区湯島1-5-45 東京医科歯科大学第1外科
受理年月日
1996年12月11日
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