原著
電気インピーダンスを用いた単純浸漬保存肝のviability評価法に関する実験的研究
山内 希美, 広瀬 一, 千賀 省始, 林 勝知, 鬼束 惇義, 正村 静子*
岐阜大学第1外科, 同 第1解剖*
生理食塩水単純浸漬保存肝のviabilityの評価法として電気インピーダンス(EI)測定の意義を検討した.Wistar系雄性ラットをI群:4℃,II群:15℃,III群:25℃保存とし,電顕的評価,肝組織中高エネルギーリン酸化合物(HPLC),EIを測定した.なおEIはLCRメータにより20 Hz-1 MHzまでの39周波数を使用した.ミトコンドリアスコアー(Mt.S)はI,II,III群でそれぞれ保存240分,120分,60分まで3未満であった.%ATPはI,II,III群でそれぞれ同保存期間に虚血前の18~21%に減少した.%tanδは虚血後直ちに減少し,Mt.Sが3未満の時点で0.033~0.086%/minとなった.%ATPと%tanδの間に有意な正の相関が認められた.%tanδの変化はミトコンドリアの構造破壊およびATPの変化と関連性があることが示唆され,電気インピーダンスは保存肝のviabilityを評価するのに有用である可能性が示唆された.
索引用語
simple strage, electrical impedance, ultrastructure, adenine nucleotide, water content
別刷請求先
山内 希美 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学第1外科
受理年月日
1996年10月9日
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