原著
大腸癌肝転移病巣の2次的肝内進展に関する研究
竹並 和之, 高崎 健, 山本 雅一
東京女子医科大学消化器外科
大腸癌肝転移巣の2次的な肝内進展について病理組織学的に検討した.VB-HE重染色を行い,主病巣の最大割面上,病巣周囲で,1)境界部での発育様式,2)門脈域への浸潤,3)肝静脈浸潤,4)衛星結節の4項目につき観察した.膨張性発育は31例(72%)で,うち14例に被膜形成を認めた.浸潤性発育12例のうち6例に,門脈域浸潤の先進部よりさらに肝実質へ浸潤する像を認めた.門脈域への浸潤は38例(88.4%)で,うち門脈侵襲31例,胆管侵襲17例で,肝静脈侵襲は10例であった.衛星結節を28例(65.1%)に認め,うち22例は門脈域内の癌結節で,6例は肝実質内の癌結節であった.衛星結節のうち24例(85.7%)は主病巣から1.5 cm未満内に存在し,主病巣の径の増大とともにその出現頻度および主病巣からの距離が増加した.門脈域への浸潤は2 cm以下の症例でも7例全例にみられた.転移性肝癌においても門脈域を介した2次的な肝内進展を示しており,これらの進展を考慮した術式の選択が望まれる.
索引用語
secondary intrahepatic spreading of hepatic metastasis from colorectal carcinoma
別刷請求先
竹並 和之 〒162 新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1996年10月9日
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