原著
大腸癌肝転移切除後の再発形式
舛井 秀宣, 池 秀之, 渡会 伸治, 山口 茂樹, 藤井 正一, 金村 栄秀, 南湖 正男, 黒沢 治樹, 大木 繁男, 嶋田 紘
横浜市立大学第2外科
大腸癌肝転移切除88例を対象として肝切除後の再発形式を検討し,その対策を考察した.肝切除後3年再発率は74.9%で,そのうち部位別では残肝再発(73.3%)が,経路別では血行性転移(86.7%)が最も多かった.3年残肝再発率は65.2%で,肝切離面から1 cm以内の癌浸潤(TW)の有無では残肝再発率に有意差がみられたが,肝転移の程度,肝転移個数,転移巣最大径,肝切除術式で差はみられなかった.残肝再発形式をTWと再発部位から検討すると肝切離面癌遺残部再発3例,TW(+)で肝切離面の近傍再発8例,TW(-)で遠隔残肝再発9例,両葉多再発17例,その他であった.即ち,前2者のように肝転移巣近傍の微小転移(daughter metastasis)によるもの29.3%,次2者のように原発巣からの潜在的肝転移(occult metastasis)から発生したと思われるもの70.7%であった.以上より肝切除後の残肝再発を減少させるためには,十分なTWを確保した肝切除術と,肝内微小転移巣,潜在的肝転移巣を考慮にいれた肝動注療法が不可欠と思われた.
索引用語
hepatic metastases from colorectal cancer, hepatic resection, recurrence in remnant liver, recurrence pattern
別刷請求先
舛井 秀宣 〒236 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1996年10月9日
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