原著
mp大腸癌における遠隔転移の危険因子に関する臨床病理学的検討
伊藤 卓, 森田 隆幸, 中村 文彦, 今 充
弘前大学第2外科
1975年から1991年までの16年間に経験した深達度mp大腸癌119例のうち局所再発3例,同時性腹膜播種1例,同時性大動脈周囲リンパ節転移例1例を除いた非転移群100例と遠隔転移群14例について遠隔転移をきたす臨床的,病理組織学的種々の危険因子の検討を行った,遠隔転移をきたす危険因子として,1)肛門管に腫瘍がかかる症例,2)中分化型腺癌,3)深達度が外縦筋,4)Budding高度,5)中静脈の腫瘍塞栓,6)リンパ節転移の6因子があげられた.あてはまる因子数別の5年生存率は0因子のものは100%,1因子のものは97.6%,2因子のものは81.9%,3因子以上をみたすものは53.1%であり,これら比較的早期の症例の予後の推測には多因子による検討が有用と考えられた.今後はこれら遠隔転移を規定する因子をさらに明確にし,それらの悪性度を指標にした効率的な補助化学療法の検討が必要と考えられる.
索引用語
colorectal carcinoma invading muscularis propria, distant metastasis of colorectal carcinoma, clinicopathological study
別刷請求先
伊藤 卓 〒036 弘前市在府町5 弘前大学医学部第2外科
受理年月日
1996年11月13日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|