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第30巻 第3号 1997年3月 [目次] [全文 ( PDF 570KB)]
原著

消化器外科におけるメチシリン耐性黄色ブドウ球菌の消失:前後2年間の分析

吉田 順一1)2), 黒木 祥司1), 松尾 憲一2), 池田 真一2), 田中 雅夫1)

九州大学医学部第1外科1), 下関市立中央病院外科2)

 本邦の大病院ではメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)が蔓延している.当科では基本的な感染対策を行っているので,94年1月から95年12月まで消化器外科の患者から得られた細菌1,408株を対象に解析した.その間術前1週間はヨード剤による含嗽と鼻前庭除菌を行い,回診順序は術後観察室→一般病室→ MRSAの隔離室の順とした.統計学的にMRSA,カンジダ属,緑膿菌および腸球菌の陽性者数を折れ線回帰分析した.その結果,95年1月からカンジタ属は増加したが,MRSA,縁膿菌,腸球菌は減少した.MRSAの計55株は94年全株(n=908)のうち6.1%,95年(n=500)では皆無だったが,カンジタ属は5.0%(45株)から5.8%(29株)へ増加した.当科のMRSA検出ゼロ化には,術前の上気道に対する処置などの基本的な感染症対策が功を奏していると思われる.

索引用語
methicillin-resistant Staphylococcus aureus, Candida, Pseudomonas aeruginosa, Enterococci

日消外会誌 30: 748-753, 1997

別刷請求先
吉田 順一 〒750 下関市向洋町1-13-1 下関市立中央病院外科

受理年月日
1996年10月9日

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