症例報告
下咽頭癌根治手術後の後縦隔再建胃管にみられた早期胃癌に対する分節的切除
辻本 広紀, 市倉 隆, 玉熊 正悦
防衛医科大学校第1外科
症例:59歳の男性.父,兄,弟が胃癌で死亡,姉が子宮癌で死亡と悪性腫瘍の家族内集積を認めた.1994年1月に下咽頭癌に対し,咽喉頭食道全摘,頸部郭清,非開胸食道抜去,経後縦隔胃管挙上による咽頭胃吻合,永久気管瘻造設術を施行.術後1年目の内視鏡検査にて再建胃管内に長径約3 cmの隆起性病変を認め,生検にて高分化腺癌と診断され,1995年5月手術施行.病巣の主座が胃大網動静脈の対側であったこと,腎機能障害がみられたことから,胃管への血流を温存して胃管の分節切除を行い,結腸により再建した.胃管癌の病理診断は深達度sm,組織型tub1,ly1,v0,ow(-),aw(-),摘出された壁在リンパ節に転移は認めなかった.胃管癌手術後1年経過した現在,再発の兆候なく生存中である.再建胃管癌に対する本術式は根治性からは不十分となろうが高齢者,合併症を有する症例には有用であると思われた.
索引用語
hypopharyngeal cancer, cancer in the reconstructed stomach tube, segmental resection of the reconstructed stomach tube
別刷請求先
辻本 広紀 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1996年11月13日
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