症例報告
左肝内胆管拡張,黄疸を呈した細小肝細胞癌の1例
阪本 靖介, 猪飼 伊和夫, 田浦 康二朗, 池田 房夫, 森本 泰介, 山岡 義生
京都大学医学研究科消化器外科
症例は63歳の男性.右季肋部痛,黄疸を主訴として近医を受診した.左肝内胆管拡張と総肝管の透亮像が認められたが,明らかな肝内腫瘤陰影は認められず,総胆管結石症の診断にて胆嚢摘出術,総胆管切開術を施行された.術中所見では総胆管内に凝血塊が認められたが結石はなく,術中精査にて左肝内胆管起始部に隆起性病変が認められ,生検にて病理組織学的に悪性と診断されたため当科を紹介された.入院後,再度精査を施行したが肝内には腫瘤は認められず,肝門部胆管癌と診断し肝左葉切除術,胆道再建術を施行した.切除標本では肝門部左肝内胆管壁近傍の肝実質内に直径約1 cmの腫瘍があり,病理組織学的には肝細胞癌で,微小胆管に腫瘍栓を認めた.胆管腫瘍栓に起因する閉塞性黄疸を初発症状とした細小肝細胞癌の1例を経験したので報告した.
索引用語
obstructive jaundice, small sized hepatocellular carcinoma, bile duct thrombus
別刷請求先
猪飼 伊和夫 〒606-01 京都市左京区聖護院川原町54 京都大学医学研究科消化器外科
受理年月日
1996年10月9日
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