原著
p53,c-erbB-2,PCNA,CD44,nm23の免疫組織染色所見からみた大腸癌異時性肝転移高危険群の検索について
北村 文近, 佐治 重豊, 深田 代造, 宮 喜一, 国枝 克行, 杉山 保幸, 鷹尾 博司, 加藤 元久
岐阜大学医学部第2外科
大腸癌術後異時性肝転移予測の可能性を検索する目的で,治癒切除例で異時性肝転移33例(転移群),転移群と1:2で度数マッチングさせた非転移66例(対照群)を対象とし,p53,c-erbB-2,PCNA,CD44,nm23を免疫組織化学的に検討した.転移群は対照群に比べPCNA labeling index(LI)が有意に高く,CD44陽性例,nm23陰性例が有意に多かったが,p53,c-erbB-2は両群間に差を認めなかった.ROC曲線によるPCNA LIの異時性肝転移判別閾値は60であった.転移群の無再発期間はCD44陽性例で有意に短縮し,nm23陰性例で短い傾向を示した.転移群の累積生存曲線はCD44陽性例で予後不良となる傾向を示した.各因子の免疫組織所見より算出した異時性肝転移確率は,1項目ではPCNA LI(0.23)が,2項目ではPCNA LI+nm23(0.62)が最も高かった.免疫組織染色によるPCNA LI,CD44,nm23の検索は大腸癌治癒切除後の異時性肝転移高危険群の判別に有用であると推察された.
索引用語
metachronous liver metastasis of colorectal cancer, immunohistochemical stain, case control study, positive predictive value, receiver operating characteristic curve
別刷請求先
北村 文近 〒500 岐阜市司町40 岐阜大学第2外科
受理年月日
1996年11月13日
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