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第30巻 第4号 1997年4月 [目次] [全文 ( PDF 483KB)]
原著

消化器外科患者における血漿グルタミン値の変化

塩見 尚礼, 谷 徹, 遠藤 善裕, 遠藤 郁, 白石 享, 星 寿和, 柿原 直樹, 小玉 正智

滋賀医科大学第1外科

 外科的侵襲時,グルタミン(Gln)は腸粘膜細胞などのエネルギー源になると言われている.しかし,臨床例での侵襲時血漿Gln値の報告は少ない.今回,消化器外科手術を受けた39例,外科的侵襲を伴った長期間絶食の10例における血漿Gln値の変動を測定した.
 外科的侵襲により血漿Gln値の低下率は1日目に最大となり,4日目には0に近づいた.手術侵襲下の完全静脈栄養管理(TPN)は血漿Gln値の低下を抑制する傾向を示したが経口摂取以外に血漿Gln値は上昇しなかった.また2週間以上外科的侵襲が続くとTPN下でも血漿Gln値の低下が著しかった.
 以上より,外科的侵襲によるGlnの消費が筋肉からの供給に追いつくには3日から4日かかるが,2週間以上の絶食で筋肉内量も低下し,供給が追いつかなくなることが示唆され,Gln供給の必要があると思われた.

索引用語
Glutamine, gastroenterological surgery

日消外会誌 30: 853-857, 1997

別刷請求先
塩見 尚礼 〒520-21 大津市瀬田月輪町1 滋賀医科大学第1外科

受理年月日
1996年11月13日

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