症例報告
孤立性肝結核腫の1例
白石 哲, 川村 展弘, 山岡 透, 近藤 建, 佐藤 健
国立豊橋病院外科
孤立性肝結核腫はまれな疾患で本邦では30例が報告されているにすぎない.症例は,48歳男子で主訴は発熱,右季肋部痛であった.血液学的検査ではGOT 100 IU/l,CPT 116 IU/l,LDH 523 IU/l,ALP 412 IU/l,γ-GTP 187 IL/l,LAP 86 IU/lと肝機能異常を認め,腹部超音波検査,腹部CT,腹部血管造影検査で肝S5領域に腫瘤像を認めた.鑑別診断のため超音波ガイド下にneedle biopsyを施行した.病理学的に肝結核腫の診断を得たため,6か月間の抗結核薬物療法(INH,RFP,SMの3者併用)を施行した.治療終了後の画像診断では腫瘤像は完全に消失し,2年を経過した現在も再燃の徴候はない.孤立性肝結核腫は外科的切除標本の組織学的検査ではじめて診断されることが多く,needle biopsyで診断され,抗結核薬物療法のみで治療された例は非常に少ない.本診断法が有用であった症例を報告した.
索引用語
solitary hepatic tuberculoma, percutaneous liver needle biopsy, antituberculous therapy
別刷請求先
白石 哲 〒441 豊橋市中野町字中原100 国立豊橋病院外科
受理年月日
1996年11月13日
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