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第30巻 第4号 1997年4月 [目次] [全文 ( PDF 470KB)]
特集

術前生検材料の分子生物学的検索による胃癌の転移・再発予測の可能性について―胃癌におけるCD44変異体発現の検討―

山道 啓吾, 上原 芳彦, 大沢 常秀, 大草 世雄, 田中 完児, 中根 恭司, 日置 紘士郎, 喜多村 直実1)

関西医科大学第2外科, 附属肝臓研究所分子遺伝学部門, 東京工業大学生命理工学部生命理学科1)

 接着分子CD44はalternative splicing機構により変異体を形成することが知られている.最近,このCD44変異体の発現が癌の浸潤,転移と深く関連するといわれている.われわれは癌の遺伝子診断の臨床応用として,variant exon 6を含むCD44変異体(CD44v6)mRNAの発現を胃癌において検討し,術前内視鏡生検材料の検索で術後の転移や再発を予測することが可能であるかを検討した.胃癌73症例の手術標本のCD44v6 mRNA発現量はリンパ節転移および肝転移と有意に相関した.また,再発例のCD44v6 mRNA発現量が増加し,高発現群の予後は不良であった.25症例の生検材料の検討ではCD44v6 mRNA発現は同症例の手術標本の発現とほぼ一致した.CD44v6 mRNAの発現は術前の生検材料でも十分,定量可能であり,胃癌の転移,再発の危険性を予知する因子として術前の評価に利用することが可能であることが示唆された.

索引用語
CD44, gastric cancer, RT-PCR

日消外会誌 30: 886-890, 1997

別刷請求先
山道 啓吾 〒570 守口市文園町10-15 関西医科大学第2外科

受理年月日
1996年12月11日

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