特集
HVJ‐liposomeによる生体肝への遺伝子導入の基礎的検討
平野 公通, 藤元 治朗, 山本 秀尚, 植木 孝浩, 王 孔志, 岡本 英三
兵庫医科大学第1外科
HVJ-liposomeを用いてラット生体肝へE.coli β-galactosidase(β-gal)geneを導入し遺伝子導入についての検討を行った.HVJ-liposomeにβ-gal geneを封入し,経門脈群,経門脈導入前部分肝切除を加えた2群に分け導入した.導入後経時的に屠殺し,X-gal染色,RT PCRにてβ-gal発現を検索した.経門脈投与群においてβ-gal発現は,導入3日後で31.9±11.5%(M±SD)で漸次減少し,28日後では0%であったが,導入前部分肝切除を加えた群では導入後28日でも約20%の発現を認めた.また,RT-PCRにてm-RNAの発現を確認した.HVJ-liposomeによる生体肝細胞への外来遺伝子導入は高率であり,導入前部分肝切除の付加により発現期間を延長し得た.本法は安全かつ高効率であり,遺伝子導入によるmodel動物の作製,およびさまざまな疾患の遺伝子治療への応用が可能である.
索引用語
HVJ-liposome, in vivo transfection, liver
別刷請求先
平野 公通 〒663 西宮市武庫川町1-1 兵庫医科大学第1外科
受理年月日
1996年12月11日
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