特集
c-met アンチセンスDNAによるヒト胃癌細胞の増殖・浸潤抑制の検討
加治 正英, 米村 豊, 廣野 靖夫, 津川 浩一郎, 伏田 幸夫, 藤村 隆, 三輪 晃一, 宮崎 逸夫
金沢大学医学部第2外科
標的mRNAに選択的に結合するDNAを用いて遺伝子発現をブロックする方法がアンチセンス法である.今回,癌の進展に関与するc-met遺伝子に対して,胃癌培養細胞における発現異常と,アンチセンスDNAによる培養細胞の増殖および浸潤抑制について検討した.c-met遺伝子の発現をNorthern blotにて解析したところ,c-met mRNA レベルはMKN-45>TMK-1>MKN-28の順に高かった.MKN-45細胞の増殖は10μMアンチセンスDNAの存在下で90%以上抑制された.マトリゲル中へのTMK-1細胞浸潤は,c-metアンチセンスDNA存在下で濃度依存性に低下した.以上の結果から,c-metに対するアンチセンスDNAが胃癌の進展阻止のための有効な治療手段となる可能性も考えられた.
索引用語
c-met, antisense DNA, gastric cancer
別刷請求先
加治 正英 〒920 金沢市宝町13-1 金沢大学医学部第2外科
受理年月日
1996年12月11日
 |
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|