特集
下部直腸sm癌の局所切除後における追加腸切除の適応とその術式
柳生 俊夫, 吉川 宣輝, 三嶋 秀行, 西庄 勇, 辛 栄成, 蓮池 康徳, 小林 研二, 小林 哲郎
国立大阪病院外科
下部直腸sm癌と全大腸sm癌のリンパ節転移の危険因子を比較検討し,下部直腸sm癌の局所切除術における追加腸切除の適応について考察した.対象は国立大阪病院の大腸sm癌303例とそのうちの下部直腸sm癌71例で,リンパ節転移例は全大腸で22例,うち下部直腸で6例である.全大腸sm癌の検討においてリンパ節転移と有意の関連を示した脈管侵襲(p<0.01),sm浸潤度(p<0.05),先進部組織型(p<0.05)の3因子ごとのリンパ節転移率は下部直腸sm癌でも非常に類似した値を示した.下部直腸sm癌だけの症例数では有意とはならなかったが,これらの危険因子を用いた大腸sm癌に対する追加切除の基準は下部直腸sm癌でも有用であることが示された.また,下部直腸sm癌の手術術式の適応においては,歯状線近傍の腫瘍に対しても確実に腫瘍肛門側距離のとれる経肛門・腹式直腸切除一肛門吻合術が導入されたことにより自然肛門温存術式の適応が拡大された.
索引用語
lower rectal cancer invading the submucosa, lymph node metastasis, polypectomy followed by bowel resection
別刷請求先
柳生 俊夫 〒540 大阪市中央区法円坂2-1-14 国立大阪病院外科
受理年月日
1996年12月11日
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