特集
sm癌のリンパ節転移および深達度診断の実態からみた直腸局所治療法の意義と適応
岡本 春彦, 酒井 靖夫, 須田 武保, 畠山 勝義
新潟大学第1外科
直腸における局所治療法の意義と適応を考察した.リンパ節郭清を含む腸切除術が施行されたsm癌168病変でリンパ節転移は15病変8.9%に認められたが,壁深達度smlaの病変および大きさ15 mm未満の有茎・亜有茎性sm癌にリンパ節転移を認めなかった.切除前壁深達度診断は有茎・亜有茎性病変で78.9%,無茎性病変で88.5%正診可能で,切除前にsm多量浸潤と診断された病変にsmla癌を認めなかった.sm癌に対する治療法の内訳では,初回腸切除術が結腸で45.8%,直腸で23.5%と直腸に少なく,局所治療+追加腸切除術がおのおの27.1%,41.2%,局所治療のみがおのおの27.1%,35.3%と直腸に多かった.局所治療法はsm多量浸潤癌と診断される病変を除く腺腫・早期癌に対しては,高率に根治的治療となりうるが,直腸においては排便,膀胱,性機能温存の観点から診断的治療または姑息,縮小手術としての意義も重要であると考えられた.
索引用語
submucosal invasive cancer, transanal endoscopic microsurgery, local resection
別刷請求先
岡本 春彦 〒951 新潟市旭町通1-757 新潟大学医学部第1外科
受理年月日
1996年12月11日
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