原著
消化器癌における癌告知の現状とアンケート調査からみた考察
上田 順彦, 広野 禎介
富山市民病院外科
アンケート調査をもとに癌告知の現状と問題点を明らかにした.対象は過去2年10か月間に筆頭著者が主治医の消化器癌のうちアンケートが回収できた94例である.癌告知は家族の合意の上で行った.94例中癌告知は63例で,根治度別の割合はA 88%,B 38%,C 47%であった.告知をうけた大部分の患者,家族は告知をうけたことに満足していた.また根治度B,Cでは告知により補助療法や再手術が円滑に遂行できたが,非告知例では困難な症例もあった.生存中の告知患者54例中癌告知希望は94%であったが,予後まで希望した人は41%であった.また告知患者の6%は告知を希望せず,非告知患者の39%は告知希望であった.以上より癌告知は患者の心理面,治療面に有用であるが,告知に際しては本人の告知の希望内容を事前に確認し,それに沿った情報を提供する必要がある.ただし,予後の厳しい患者に希望通りの情報を提供するか否かは今後の課題である.
索引用語
digestive cancer, notification of cancer, informed consent, paternalism, questionnaire
別刷請求先
上田 順彦 〒939 富山市今泉292 富山市民病院外科
受理年月日
1997年1月8日
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