症例報告
Upside down stomachを呈した混合型食道裂孔 ヘルニアに進行胃癌が併存した1切除例
松田 政徳, 相川 琢磨, 関川 敬義, 苅込 和裕, 飯塚 秀彦, 藤井 秀樹, 松本 由朗
山梨医科大学第1外科
症例は79歳の女性.十数年前より,食道裂孔ヘルニアの診断で経過観察中であった.上腹部膨満感のため近医を受診,精査加療目的で当科に入院した.胸部単純X線写真で縦隔内に複数の消化管ガス像が認められた.上部消化管造影では混合型の食道裂孔ヘルニアを認め,胃の大部分が縦隔内に脱出しておりupside down stomachを呈していた.また,胃体中部小彎後壁側に不整な陰影欠損像を認めた.上部消化管内視鏡検査では胃は高度に変形し胃体中部から肛門側の観察は困難であった.体中部に隆起性病変を認め,生検では印環細胞癌であった.胃全出術,食道裂孔縫縮術を施行した.胃体中部に3型病変と幽門前庭部前壁側に中央に陥凹を有する隆起性病変が存在した.双方とも低分化腺癌で,粘膜下で連続していた.upside down stomachに胃癌が併存し,切除しえた本邦2例目の極めてまれな症例を報告した.
索引用語
upside-down-stomach, mixed hiatal hernia, advanced gastric cancer
別刷請求先
松田 政徳 〒409-38 山梨県中巨摩郡玉穂町下河東1110 山梨医科大学第1外科
受理年月日
1997年1月8日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|