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第30巻 第5号 1997年5月 [目次] [全文 ( PDF 507KB)]
症例報告

十二指腸原発平滑筋芽細胞腫の1例

谷脇 聡, 片岡 誠, 田中 宏紀, 船戸 善彦, 伊藤 由加志, 春木 伸裕, 小西 昭充

名古屋市立東市民病院外科

 平滑筋芽細胞腫は胃に発生する場合がほとんどで,十二指腸原発例は少ない.今回,我々は72歳の女性の十二指腸下行脚に発生した平滑筋芽細胞腫の1例を経験した.十二指腸原発平滑筋芽細胞腫の本邦報告例は過去に22例しかなく,このうち悪性症例は4例で,1例のみ腫瘍死が確認されている.本症例は,膵頭十二指腸切除術を施行し,手術所見や組織学的検索で浸潤傾向やリンパ節転移など悪性所見を認めなかったが,術後約4年で,肝転移,腹水貯留をきたし死亡した.また,本腫瘍は通常,類上皮性平滑筋腫瘍と同義語として取り扱われている.しかし,HE染色を中心とした通常観察では,神経原性腫瘍との鑑別が困難な症例もあり,本症例でも,免疫染色によりこの鑑別が可能であった.本腫瘍の組織学的診断に際しては,通常観察で典型例と判断されても,免疫染色や電顕を使用した多角的検索により,平滑筋由来であることを確認する必要があると考えられた.

索引用語
leiomyoblastoma of the duodenum, epithelioid smooth muscle tumor of the duodenum, immunohistological examination

日消外会誌 30: 999-1003, 1997

別刷請求先
谷脇 聡 〒509-72 恵那市大井町2725 国立療養所恵那病院外科

受理年月日
1996年12月11日

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