食道癌周術期における輸液管理―積極的細胞外液組成液投与の意義―

肥田　圭介, 佐藤　信博, 池田　健一郎, 大塚　幸喜, 木村　祐輔, 青木　毅一, 石田　薫, 斎藤　和好

岩手医科大学医学部第1外科

　胸部食道癌手術患者51例につき，Cardiac indexを術前値以上に保つことを目標に，前負荷の指標としてright venticular end diastolic volume indexが130 ml/m²以上を示すように細胞外液組成液投与を積極的に増量する輸液循環管理を施行し，術後呼吸循環動態，水分Na出納，術後合併症発生率について検討した．投与水分量は術中15.3 ml/kg/h，0病日5.2 ml/kg/hで，水分出納は2病日に最低値を示した．呼吸機能は2病日を境に好転し，酸素運搬能係数は650 ml/min/m²以上，酸素摂取率は25％以下で経過した．術後合併症発生率は肺合併症13.7％，高ビリルビン血症13.7％，不整脈11.8％，縫合不全3.9％，急性腎不全2.0％であった．積極的細胞外液投与により組織酸素代謝の改善が認められ，手術侵襲からの早期離脱に繁がる可能性が示唆された．

索引用語
perioperative management for esophageal cancer, intensive infusion of extracellular fluid solution, perioperative organ oxygen metabloism

別刷請求先
肥田　圭介　〒020　盛岡市内丸19-1　岩手医科大学第1外科

受理年月日
1997年2月12日

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