症例報告
脳転移を来した胃原発扁平上皮癌の1例
渡辺 章, 梅原 松水, 梅原 松臣1), 堀場 光二1), 笹島 耕二1), 山下 精彦1), 恩田 昌彦1), 野手 洋治2)
梅原病院外科, 日本医科大学第1外科1), 日本医科大学脳神経外科2)
胃原発扁平上皮癌の1例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告する.
症例は62歳の男性で,主訴は上腹部不快感,下血.近医で高度の貧血を指摘され当院に紹介入院した.胃内視鏡検査にて胃体上部小彎側の大きな陥凹性病変を認め,生検にて扁平上皮癌が疑われ胃全摘出術,膵体尾部脾合併切除を施行した.切除標本では食道胃接合部より約1 cmの胃体上部にBorrmann 2型の腫瘍を認めた.病理組織像では病変部は食道粘膜との連続性はみられず,大小の充実性胞巣を形成して増殖する低分化型扁平上皮癌であった.術後は9か月にして脳転移を認め,転移巣は摘出され胃切除後2年4か月の現在健在である.胃原発扁平上皮癌は極めてまれな疾患で,自験例を含め26例のみが報告され,脳転移切除例は本邦初である.
索引用語
squamous cell carcinoma, gastric cancer
日消外会誌 30: 1761-1765, 1997
別刷請求先
渡辺 章 〒344 春日部市小渕455-1 梅原病院外科
受理年月日
1997年2月12日
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