症例報告
横隔膜下膿瘍を伴った肝inflammatory pseudotumorの1例
松本 英男, 平井 隆二, 太田 徹哉, 大橋 龍一郎, 川崎 誠治, 土井原 博義, 曽我 浩之, 清水 信義
岡山大学第2外科
横隔膜下膿瘍を伴った肝のinflammatory pseudotumorを経験したので報告する.症例は62歳の男性で,38℃を越える発熱と右季肋部痛を主訴として入院した.白血球16,200/µl,CRP 11.8 mg/mlと炎症所見が著明であった.腹部超音波検査で,右横隔膜下の液体貯留と肝後区域に多房性の境界不明瞭な径約5 cmの低エコー域を認めた.CT,MRIでも同様の所見であった.横隔膜下膿瘍を伴った肝膿瘍を疑い,膿瘍ドレナージを試みた.10日後のCTでは,homogeneous hypodense massに変化していた.経皮的針生検で悪性腫瘍も否定できないため,肝後区域の部分切除を行った.病変は充実性の腫瘤であり,組織学的に炎症性偽腫瘍と診断された.肝膿瘍から炎症性偽腫瘍に移行し,感染を契機に発症したと考えられた.
索引用語
inflammatory pneudotumor of liver, subphrenic abcess
日消外会誌 30: 1771-1775, 1997
別刷請求先
松本 英男 〒700 岡山市鹿田町2-5-1 岡山大学医学部第2外科
受理年月日
1997年2月12日
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