症例報告
直腸原発mucosa-associated lymphoid tissue lymphomaリンパ腫の1例
荒能 義彦, 平野 誠, 村上 望, 長尾 信, 菊地 勤, 黒川 勝, 橘川 弘勝
厚生連高岡病院外科
症例は75歳の女性.主訴は便潜血陽性.下部消化管内視鏡で肛門縁から5 cmに直径2 cmの亜有茎性ポリープを認めた.内視鏡的切除の結果MALTリンパ腫であった.切除断端陰性で,周囲の粘膜生検でも腫瘍細胞を認めないため経過観察をしていた.9か月後に局所再発をしたため,内視鏡的に再切除を行った.病理組織学的所見から遺残が疑われたため,経仙骨的に直腸切除術を施行した.切除標本の病理組織所見では,腫瘍周囲の粘膜内に明らかなMALTリンパ腫はないものの,軽い異型性を持つリンパ球が芽中心を取り巻いている小病巣が数個認められた.これらが将来リンパ腫となる可能性が考えられることから,腫瘍だけでなく腫瘍縁から十分距離をおいた周囲粘膜を含めた直腸切除が必要と考えられた.
索引用語
mucosa-associated lymphoid tissue lymphoma, MALT lymphoma of the rectum, malignant lymohoma of the rectum.
日消外会誌 30: 1814-1818, 1997
別刷請求先
荒能 義彦 〒933 高岡市永楽町5-10 厚生連高岡病院外科
受理年月日
1997年3月19日
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