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第30巻 第7号 1997年7月 [目次] [全文 ( PDF 411KB)]
症例報告

結核性痔瘻に併存した痔瘻癌の1例

矢野 一麿, 岡崎 好夫, 衛藤 隆一, 長田 孝義

国立下関病院外科

 近年,消化器疾患における結核と悪性腫瘍の合併例はまれなものとなっている.今回,結核性痔瘻に発生したと考えられる痔瘻癌の1例を経験した.症例は63歳の女性で,脳出血加療中に肛門出血で発症し,痔瘻癌の診断の下,鼠径部リンパ節郭清を伴う腹会陰式直腸切断術を受け,術後病理組織学的検査で痔瘻組織と鼠径部リンパ節に結核腫が認められた.術後経過は良好で3年9か月現在,癌も結核も再発の兆候を認めていない.長期間放置し,難治性となっている痔瘻に関しては,癌あるいは結核の併存を念頭において加療することが肝要と思われた.

索引用語
anal carcinoma, tuberculotic anal fistula

日消外会誌 30: 1819-1822, 1997

別刷請求先
矢野 一麿 〒751 下関市後田町1-1-1 国立下関病院外科

受理年月日
1997年3月19日

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