原著
先天性胆道拡張症術後の胆管炎および膵炎の原因と対策
吾妻 司, 吉川 達也, 今泉 俊秀, 新井田 達雄, 太田 岳洋, 高崎 健
東京女子医科大学消化器外科
先天性胆道拡張症に対する肝外胆道切除,胆道再建後の胆管炎と膵炎の原因を明らかにし,いかに対処すべきか検討した.対象は戸谷I,IV-A型先天性胆道拡張症非癌例のうち肝外胆道切除,胆道再建を施行した127例である.術後胆管炎や膵炎のために経過不良となった症例は24例あった.原因としては肝門部における胆管狭窄の遺残,肝内胆管の高度の拡張と多発性の狭窄,肝管消化管吻合部狭窄,挙上空腸における胆汁うっ滞,膵頭部における膵液の流出障害などがあった.したがつて,以下の点に注意すべきである.(1)肝外胆道切除,胆道再建施行時には,肝門部における胆管狭窄や膵内の拡張胆管を遺残させないようにする.(2)肝内胆管に高度の拡張や多発性の狭窄を有する症例,あるいは切石困難な膵石や膵管の高度な形態異常を有する症例では,肝外胆道切除,胆道再建のみでは対処できないこともあるため,病態に応じて肝切除や膵頭切除も考慮する.
索引用語
congenital bile duct dilatation, anomalous arrangement of the pancreaticobiliary ductal system, extrahepatic bile duct excision and reconstruction
日消外会誌 30: 1839-1846, 1997
別刷請求先
吾妻 司 〒162 東京都新宿区河田町8-1 東京女子医科大学消化器外科
受理年月日
1997年3月19日
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