卒後教育セミナー
高度進行膵癌に対する外科治療
平岡 武久
熊本大学第1外科
膵癌の治療成績が極めて悪いなかにあって,高度進行膵癌の外科治療に対していかに対処するか検討した.局所再発防止対策として,現状では最善と思われる拡大郭清手術と広範囲術中照射併用療法35例の治療成績で,stage IVaの症例までに5年生存例が得られたが,本併用療法の死因,剖検では,局所再発の制御に関しては改善効果がみられたものの,ほとんどの症例が血行性転移で死亡した.
膵癌切除後の予後は肝転移による影響が極めて大きく,そこで,術後早期の肝転移予知の手段がなく,また有効な肝転移対策がない現状では,いたずらに拡大郭清手術を適応することなく,症例の選択が重要である.高度進行例の切除可能例には,palliationをめざした切除が適応されるべきである.これらの症例に対しては,今後,肝転移対策の確立をまって,新たにアプローチすべきである.膵癌における肝転移対策の確立は急務である.
索引用語
pancreatic cancer, extended resection, intraoperative radiotherapy
日消外会誌 30: 1890-1894, 1997
別刷請求先
平岡 武久 〒860 熊本市本荘1-1-1 熊本大学医学部第1外科
受理年月日
1997年5月21日
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