会長講演
胆道外科とともに―胆道癌の臨床を中心に―
中山 和道
久留米大学外科学第2講座
胆石形成に関する実験的研究(学位論文)が胆道外科に進むきっかけとなり,膵頭十二指腸切除術が胆道癌専門の外科医に育ててくれた.
経皮経肝胆道ドレナージは胆道癌の診断,治療とその応用に必須の手技であると重要視し,手技の安定に力を注ぎ,術後合併症の防止と患者集めに大いに貢献した.胆嚢癌では切除例142例,切除率67.0%,在院死亡率3.5%で5生率はm,pm 95.5%,ss 49.2%,se,si 16.9%で全体としては43.3%であった.
胆管癌では切除例171例,切除率65.0%で,治癒切除例の5生率は肝管・上部35.0%,中下部35.5%で,不満足な成績であった.乳頭部癌では症状,診断,進展度診断,予後を左右する因子について詳述した.切除例は106例,切除率85.5%,在院死亡率は2.4%で,5生率はリンパ節転移陽性例44.4%,全体では56.6%であり,35例の5生例,14例の10生例を得ている.
索引用語
pancreatoduodenectomy, gallbladder cancer, bile duct cancer, cancer of the papilla of vater
日消外会誌 30: 1903-1911, 1997
別刷請求先
中山 和道 〒839 久留米市国分町155-1 久留米大学医療センター
受理年月日
1997年6月11日
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