症例報告
化学療法に高感受性を示した血清neuron‐specific enolase高値の胃充実型低分化腺癌の1例
丸山 道生, 工藤 敏文, 桑原 博, 高松 督, 菅野 範英, 江渕 正和
東京都立大久保病院外科
症例は74歳の女性.著しい肝転移を伴う胃低分化腺癌充実型(por1).血清NSE(140 ng/ml)高値で,切除標本でも腫瘍細胞の神経内分泌細胞への分化が認められた.肝転移巣はCDDP/5FUの肝動注化学療法に対して著効を示し,血清NSEはその臨床経過をよく反映していた.血清NSE上昇を示す腫瘍は,肺癌,食道癌ばかりではなく胃においても化学療法に高感受性を示すと考えられ,por1胃癌の治療方針を考える上でも,血清NSE測定,腫瘍細胞の神経内分泌細胞分化を知ることは重要と考えられた.
索引用語
neuron-specific enolase, gastric cancer with medullary growth pattern, chemosensitivity
日消外会誌 30: 1927-1931, 1997
別刷請求先
丸山 道生 〒160 東京都新宿区歌舞伎町2-44-1 東京都立大久保病院外科
受理年月日
1997年3月19日
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