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第30巻 第9号 1997年9月 [目次] [全文 ( PDF 458KB)]
症例報告

脾臓自然破裂,腹腔内出血にて発見された脾臓原発血管肉腫の1例

大野 毅, 池田 陽一, 江崎 卓弘, 豊増 泰介, 大岩 寛治, 小柳 信洋, 皆川 清三

飯塚病院外科

 脾臓に発生する腫瘍は良,悪性を問わずきわめてまれであり,なかでも脾臓原発の血管肉腫の報告は数少ない.今回,我々は脾臓自然破裂による腹腔内出血にて発見された脾臓原発の血管肉腫の1例を経験した.
 症例は72歳の女性,上腹部痛,出血性ショックで搬入された.腹部CTにて腹腔内に破裂している脾臓腫場を認めた.直ちに摘脾術を施行,摘出標本の免疫組織染色でFactor-VIIIが陽性であり,脾臓原発血管肉腫の腹腔内自然破裂と診断された.
 脾臓自然破裂,腹腔内出血例の予後は非常に悪く,この症例も肝転移,骨転移をきたし術後11か月で腫瘍死した.
 本邦報告50例の中で脾自然破裂後摘脾例は9例でありこれらの検討とともに症例報告する.

索引用語
angiosarcoma, spleen, spontaneous rupture

日消外会誌 30: 1952-1956, 1997

別刷請求先
大野 毅 〒870-02 大分市横田2-11-45 国立大分病院外科

受理年月日
1997年4月23日

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