原著
微粒子活性炭を用いた胃のリンパ流の検討―リンパ節転移例と跳躍転移例を中心に―
国崎 主税, 山岡 博之, 若杉 純一, 高橋 正純, 小泉 泰裕, 秋山 浩利, 三辺 大介, 國広 理, 穂坂 則臣, 嶋田 紘
横浜市立大学医学部第2外科
胃癌大動脈周囲リンパ節郭清78例に,CH40を投与し,リンパ流とリンパ節転移との関連を検討した.転移陽性リンパ節の黒染率は46.7%で陰性の55.4%に比較し有意に低率だった.リンパ流はA領域でNo.3→7,8a→9→16,4d→6→14v→16が多く,No.16a1の黒染率が最も高かったが,n1(+)では通常のリンパ流がブロックされ,No.5,6へ直接流入するリンパ流が増加した.また,M領域ではNo.3→7→9→16が多かったが,n1(+)ではNo.5,4sa,2へ直接流入した.C領域ではNo.2→16,4sa→10,11→16が多く,No.16a2lateroの黒染率が高かった.No.8p,12,14vの黒染率は低く,n1(+)ではNo.7へ直接流入した.跳躍転移例とn0症例のリンパ流は変化なく,跳躍転移という概念は現行取扱い規約から生じる歪みと考えられた.リンパ節の群別化を解剖学的にではなく,転移程度や郭清効果に準じ分類し,リンパ流を考慮した術式が治療成績向上に重要である.
索引用語
gastric cancer, lymphatic flow of the stomach, lymph node metastasis of gastric cancer, CH40
日消外会誌 30: 2127-2133, 1997
別刷請求先
国崎 主税 〒236 横浜市金沢区福浦3-9 横浜市立大学医学部第2外科
受理年月日
1997年6月11日
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