原著
胃平滑筋肉腫19例の臨床病理学的検討
栗田 啓, 高嶋 成光, 久保 義郎, 佐伯 俊昭, 横山 伸二, 土井原 博義, 棚田 稔, 多幾山 渉, 万代 光一*
国立病院四国がんセンター外科, 同 病理*
1973年から1993年の21年間に切除した胃平滑筋肉腫は19例であり,これは同期間に経験した総胃悪性腫瘍2,733例の0.70%に相当した.これらに臨床病理学的に検討を加え,主として適切な切除範囲の検討を行った.腫瘍最大径が9 cm未満例ではリンパ節転移を認めず,12例中1例のみ再発死亡した.一方,9 cm以上の7例中6例が再発死亡した.核分裂数が一強拡視野中に3個以上みられた症例では,10例中8例が死亡ないし再発したのに比べ,3個未満では再発ないし死亡例は認めなかった.肝転移再発に対し肝切除を施行した1例に5年以上生存を得た.腫瘍の大きさが9 cm未満の症例に対しては局所切除が適応と考えられた.9 cm以上の症例に対しては,手術療法のみでは予後は極めて不良で,何らかの補助療法を要すると考えられた.
索引用語
surgical treatment for gastric leiomyosarcoma, wedge resection of the stomach, mitotic number of the gastric leiomyosarcoma
日消外会誌 30: 2134-2139, 1997
別刷請求先
栗田 啓 〒790 松山市堀之内13 国立病院四国がんセンター外科
受理年月日
1997年6月11日
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