原著
胃癌における術中腹腔内洗浄細胞診の意義に関する検討
山本 篤志, 秋山 弘彦, 田辺 和照, 清水 克彦, 南 一仁, 佐伯 修二, 向田 秀則, 久松 和史, 亀田 彰, 岩森 茂
広島市立安佐市民病院外科
胃癌症例165例について術中腹腔内洗浄細胞診の意義を検討した.腹腔洗浄細胞診陽性例[以後cy(+)]は165例中41例に認め,細胞診の陽性率は24.8%であった.切除例141例中,P0症例をP(-),P1~P3症例をP(+)とすると,50%生存期間はP(+)cy(+)例5.5か月,P(+)cy(-)例22.0か月,P(-)cy(+)例11.9か月,P(-)cy(-)25.5か月であった.非切除例24例では3.7か月であった.P(-)cy(+)例の3年生存率は9.1%で,他の群との間で生存率に有意差を認めた(p<0.05).P(-)cy(+)例11例中,胃癌死症例は9例あり,うち5例は腹膜再発であった.肉眼的P因子は必ずしも組織学的に確認できておらず,予後因子として不正確な場合もあると考えられた,P(-)cy(+)例は非切除例やP(+)cy,(+)例よりは予後良好であったが,その多くが腹膜再発していることより,cy(+)は生命予後を予測する重要な因子になりえると考えられた.
索引用語
gastric cancer, cytology of intraoperative peritoneal lavage, prognosis
日消外会誌 30: 2146-2153, 1997
別刷請求先
山本 篤志 〒731-02 広島県広島市安佐北区可部南2-1-1 広島市立安佐市民病院外科
受理年月日
1997年7月2日
|
PDFを閲覧するためにはAdobe Readerが必要です |
|