症例報告
腺癌,扁平上皮癌の成分をともなった盲腸内分泌細胞癌の1例
神藤 英二, 望月 英隆, 寺畑信 太郎*, 古谷 嘉隆, 内田 剛史, 酒井 優*
防衛医科大学校第1外科, 同 検査部病理*
盲腸に発生した,腺癌と扁平上皮癌の成分を含む内分泌細胞癌の症例を経験した.肉眼的には典型的な2型腫瘍であったが,組織学的検索から同一腫瘍内に内分泌細胞癌と腺癌の領域を認め,さらに内分泌細胞癌の内部には扇平上皮癌への分化を示す部分を多数認めた.内分泌細胞癌の診断の過程で行った免疫染色では,neuron-specific enolaseに陽性を示したものの,クロモグラニンAには陰性であったため,電子顕微鏡検査を追加,内分泌顆粒を認めたことで,最終的に内分泌細胞癌の診断を得た.臨床的には悪性度が高く,肝転移を認めたため肝切除を含む根治度Bの手術を施したが,残肝再発を来し,術後9か月目に死亡した.今回の症例は,組織学的多様性から,腫瘍発生母地,およびその分化の過程が注目されるので報告した.
索引用語
neuroendocrine cell carcinoma of colon, multiple differentiation
日消外会誌 30: 2210-2214, 1997
別刷請求先
神藤 英二 〒359 所沢市並木3-2 防衛医科大学校第1外科
受理年月日
1997年6月11日
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