血清α-fetoprotein陽性胃癌の臨床病理学的特徴と増殖活性，基底膜形成に関する検討

国枝　克行, 佐治　重豊, 川口　順敬, 加藤　元久, 杉山　保幸, 梅本　敬夫, 宮　喜一, 深田　代造, 稲田　潔^＊, 下川　邦泰^＊

岐阜大学第2外科, 同　臨床検査医学^＊

　血清AFP陽性胃癌16例の臨床病理学的特徴を調べるとともに，PCNAおよびlaminin免疫組織染色の染色性から，細胞増殖能と基底膜形成を検討した．16例（stage Ia＋Ib 5例，II 1例，IIIa＋IIIb 3例，IVa＋IVb 7例）の肉眼型は2型が8例（50％）と最も多く，A，AM領域に12例（75％）が占居していた．組織型では低分化型髄様癌症例が7例（43.8％）と有意に高頻度であった．同時性肝転移例が6例（37.5％）に認められ，AFP陰性群に比べ有意に多かった．stage IaとIIの2症例を含む3例（18.8％）が肝再発にて死亡しており，全症例の5年生存率は25.0％であった．胃癌組織のAFP染色陽性率は81.3％であった．PCNA標識率は，AFP陰性群の平均が44.1であったのに対し，陽性群では63.9と有意に高値を示した．AFP陽性群のlaminin陽性率は75.0％であり陰性群での42.2％に比べ有意に高率であった．血清AFP陽性胃癌は陰性群に比べ有意に増殖活性，laminin染色率が高く，肝転移頻度が高い特徴との関連性が示唆された．

索引用語
gastric cancer, serum α-fetoprotein, PCNA, laminin, clinicopathological characteristics

別刷請求先
国枝　克行　〒500　岐阜市司町40　岐阜大学第2外科

受理年月日
1997年7月2日

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