原著
肝門部胆管癌根治手術における合理的右側背側肝切除範囲の解剖学的検討
石山 秀一, 布施 明, 久津 裕, 川口 清, 塚本 長
山形大学第1外科
肝門部胆管癌根治手術における合理的な右側背側肝の切除範囲決定のために63個の肝鋳型標本を作成,門脈後枝独立分岐型を除く54個で右側背側肝の胆管解剖を検討した.通常の分岐形態での左右肝管合流部から外側上下枝合流部までの距離は平均2.58 cm,後上下枝合流部までは平均2.11 cmであった.傍下大静脈部の胆管枝の94.3%は後上下枝よりも肝門側あるいは左側の胆管に合流した.同部の門脈枝よりも末梢側の後枝本幹から分岐し下大静脈右側に分布する後上,後下亜区域のいずれにも属さない門脈枝および肝実質(傍下大静脈背外側部)が59.3%に存在し,同部の胆管枝の87.5%は後枝本幹に合流した.以上の結果より,右側からの切除に匹敵する左側からの切除をするには少なくとも胆管を後上下枝合流部を超えて切除する必要があり,そのためには尾状葉傍下大静脈部とともに傍下大静脈背外側部の背側肝も切除すべきであると考えられた.
索引用語
hepatic hilar bile duct carcinoma, resection of the dorsal liver, caudate lobectomy, paracaval portion of the caudate lobe, anatomy of the hilar bile duct
日消外会誌 30: 2253-2256, 1997
別刷請求先
石山 秀一 〒990-23 山形市飯田西2-2-2 山形大学第1外科
受理年月日
1997年7月2日
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