原著
閉塞性黄疸に対する減黄術後の胆汁中ビリルビン排泄に関する基礎的研究
塩澤 俊一
東京女子医科大学附属第二病院外科
閉塞性黄疸時,減黄の過程にて胆汁中へのビリルビン排泄動態がいかに経時的に変化し,これが黄疸遷延因子である黄疸期間(2週群,6週群),胆道感染(感染群)といかに関っているかを雑種成犬を用いた胆汁外瘻モデルにて3群間で実験的に検討した.その結果,3群とも1日胆汁中ビリルビン排泄量(V-Bil)は減黄2~3日目に最大でその後徐々に減少し,減黄第10日目以後はほぼ一定量となる経時的変化を示した.2週群と比較し6週群,感染群は全減黄期間を通じて一貫して低値に推移し(p<0.0001),減黄直後のビリルビン排泄量以上には改善されなかった.V-Bilは減黄率b値と相関し(p=0.010),減黄後の排泄量は減黄初期の肝に最もビリルビン負荷が加わっている時の最大排泄量に深く関わっているため(p=0.002),減黄効果の予測をより早期の段階で判断できる新たな指標となりうることが示された.
索引用語
measurment of bilirubin in bile, evaluation of liver function in obstructive jaundice, external biliary drainage, bilirubin kinetics, biliary infection
日消外会誌 30: 2257-2264, 1997
別刷請求先
塩澤 俊一 〒116 東京都荒川区西尾久2-1-10 東京女子医科大学第二病院外科
受理年月日
1997年9月9日
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