原著
中下部胆管癌の予後因子の検討―特に核DNA量,MIB-1 score,p53蛋白発現について―
山田 康雄, 山内 英生, 柿崎 健二
国立仙台病院外科
中下部胆管癌切除例28例を対象として,モノクローナル抗体MIB-1/Ki-67により表現される腫瘍増殖活性,p53蛋白発現ならびに核DNA量の予後規定因子としての意義を検討し,病理組織学的因子との比較を行った.病理組織学的因子と予後との関係では,stage I~IIIとIVの間で,また下部胆管癌においてpanc(-)群と(+)群との間で生存率に有意差がみられた(p<0.05).平均核DNA量が5 c以上の群は5 c以下の群に比べて有意に予後不良であった(p<0.05).MIB-1 score(染色陽性率)10%以下の群は10%以上の群に比べ有意に予後良好であった(p<0.01).p53蛋白発現の有無による予後の差はみられなかった.病理組織学的因子と平均核DNA量,MIB-1 scoreとの間に有意な相関はみられなかった.以上の結果より,平均核DNA員,MIB-1,scoreは中下部胆管癌の予後規定因子として有用と思われた.
索引用語
carcinoma of the middle and lower bile duct, nuclear DNA content, MIB-1, Ki-67, p53 protein
日消外会誌 30: 2265-2273, 1997
別刷請求先
山田 康雄 〒983 仙台市宮城野区宮城野2-8-8 国立仙台病院外科
受理年月日
1997年9月9日
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