原著
進行大腸癌に併存する大腸隆起性病変の免疫組織学的特徴
本田 勇二, 飯野 弥, 宮坂 芳明, 関川 敬義, 松本 由朗, 江口 英雄*
山梨医科大学第1外科, 上野原町立病院*
大腸腺腫の発生と背景粘膜の関係を解析する目的で,進行大腸癌症例の非癌部に発生した大腸腫瘍(併存例)32症例57病変と,進行大腸癌を伴わない大腸腫瘍(非併存例)35症例49病変を用い,両者における大腸腫場の細胞増殖能とp53蛋白の発現の程度を比較し,進行大腸癌の併存が他の大腸腫瘍に及ぼす影響を検討した.検体は組織学的異型度により5段階に分類した.両群ともPCNA L.I.は細胞の異型度が増すにつれ上昇し,p53蛋白の染色性も細胞異型度の上昇と共に高くなった.併存例のPCNA L.I.は非併存例に比べてGrade II・III・IVにおいて有意に高値(p<0.01)を示し,進行大腸癌に併存する腫瘍は,非併存例の腫瘍よりも高い細胞増殖能を示していることが示唆された.また併存例の腫瘍は非併存例に比べ,Grade IV・Vでは有意(p<0.01)にp53蛋白の染色性が増し,大腸腫瘍の構成細胞にもp53遺伝子の異常が併存例により多く起こっている可能性が示唆された.
索引用語
proliferating cell nuclear antigen, p53 protein, colorectal polyp with advanced colorectal carcinoma, degree of epitherial cell differentiation of the colorectal polyp
日消外会誌 30: 2274-2281, 1997
別刷請求先
本田 勇二 〒395 飯田市大通1-15 医療法人栗山会飯田病院
受理年月日
1997年9月9日
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