症例報告
空腸十二指腸重積をおこし大量下血をきたした十二指腸Brunner腺過誤腫の1例
小島 由光*, 藤崎 真人, 亀山 哲章, 平畑 忍, 前田 大, 長谷川 博俊, 松本 昌久, 中村 達**
足利赤十字病院外科, 浜松医科大学第2外科** (*現・浜松医科大学第2外科)
25歳の男性患者が嘔吐および貧血をきたし,幽門狭窄が疑われて紹介された.上部消化管内視鏡検査で幽門狭窄を認めたが,内視鏡の通過は容易であった.腹部CT検査では,後腹膜腫瘍が疑われたが,診断のつかないまま精査入院中,突然,大量の下血をきたした.腹部血管造影検査を施行したが,出血源は不明であり貧血がさらに増悪したため,緊急開腹術を施行した.開腹所見では,十二指腸球部に発生した直径約5 cmの腫瘍が,十二指腸の粘膜脱を伴いながらポリープ状にTreitz靭帯より遠位にまで達し,これを先進部として近位空腸が十二指腸3rd portionに逆行性に空腸十二指腸重積をきたしていた.出血源はこの腫瘍であり,病理診断はBrunner腺過誤腫であった.十二指腸の腸重積は,解剖学的にもまれであるが,本症例をもとにその病型分類,発症機序および消化管造影X線画像について文献的検討を加えた.
索引用語
Brunner's gland hamartoma, gastrointestinal hemorrhage, jejunoduodenal intussusception
日消外会誌 30: 2287-2291, 1997
別刷請求先
小島 由光 〒431-31 浜松市半田町3600 浜松医科大学第2外科
受理年月日
1997年9月9日
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